幼年期の終わり

読後感は極めて良くない。「不快である」との評は間違ってはいない。
しかし、この作品が予見している物質世界から目に見えない精神世界への人類の進化と言うものが、そう遠くない未来に起こるのでは無いか、と言う予感を残した。
それは人類にとって華やかで美しい変遷であれば良いと切に願う。
 
二つの異なる存在が、互いを観察し、研究し、理解しようとする時。
そこにあるのは純粋な好奇心のはずだ。
固体が異なれば、見え方も感じるものも違う。
この世の中で最も忌むべきものは「無関心」であることを、幼年期の終わりを迎えた人類の姿に見た。それは恐怖ですらある。
 
オーバーロード達の絶望、人類の孤独。
果たして、クラークの言う通り人類は幸福なのか?

自分は別の答えを出したい。もっと希望を、見出だしたい。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)